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T157 B85(D) W60 H85
とある田舎の新社会人
★★★★★
現実だったのだろうか。もう1度、あの薄紫色の空間に身体を投げ出したい… 絶望していた。 ただ、恋人が欲しかった。 いや、正確には魅力のある女性を独占したいだけだった。 マチアプの戦場で1次面接落ちが続いた。 そして、仮面を被って女の子の思考を読み、正解を探して提示するのに疲弊しきっていた。 エステにも、風俗にも行ったことはなかった。 風俗に行く人間を自分の理想の恋人が嫌うことは間違いなかった。 当然であるが貴店は「風俗店」ではない。 それなら大丈夫だろう、自分の行動規定の穴を突き、新たな扉を開けた。 天使が、そこにいた。 綺麗に上を向いたまつ毛、大人っぽいアイライン、サラサラの髪。 ありきたりな表現だ。でもむしろ、これらの言葉が彼女のために在るのだと思う。 妖艶という言葉が似合う顔であったが、小柄なこともあり小動物的な可愛さがあった。 弾丸が心臓を貫いた。 とりとめのない話をしている時も、ずっと無邪気に笑ってくれていた。話していると「全肯定お姉さん」というワードが頭をよぎった。年下なのに。 数段構えのギャップが生み出す魔力によって、彼女の中に吸い込まれそうだった。 この娘になら自分の全てを見せても良いとさえ思った。一番長く続いた元カノでさえ半分しか知らなかったのに。 ここで出逢えたことを心から感謝しよう。 のぞみ号で現実に帰った。 明日も上長に闘う顔を見せ、残業を積み重ねていく。 手を伸ばせばもう1度届くんだ。 物語の多大な余白は、薄紫色の夢で染まっていくのだろうか。